前回蒔いてから1ヶ月も経っていませんが、どんどん成長する新芽たちが可愛くて、追加で他の種類も蒔くことにしました。
大きく育つには何年もかかるので、早めに蒔いておきたい気持ちもあり、今後もかなりのペースで種を購入する気がしています。
前回蒔いた様子はこちら。完全密閉とラップによる半密閉の比較をしています。
まずは前回まいた実生の成長をご紹介
9月中旬に初めての種まきをして、そこから3週間経過した子株たちです。
発芽率はまずまずでしたが、その後は今のところどれもダメになることなく順調に成長しています。
育成環境は室温25℃で維持。照明は4000ルクス程度。
水は2日に一回新しいものに交換しながら腰水をキープしています。
パキポディウムは小さいながら、すでに形が出来つつあります。
ぷっくりとしてきて、とてもかわいいです。
アガベも小さいながら根元のあたりが尖り始め、アガベらしさの片鱗を見せ始めています。
これもまた可愛い。
ここからどんな姿に育つか今から楽しみです。
2回目の種まき。発芽促進剤、殺菌剤は必要なのか検証
発芽促進剤や殺菌剤の効果を確認するために、半分は薬剤あり、残りの半分は薬剤なしで検証してみます。
今回蒔くのはこちらの6種。
・アガベ チタノタブルー Agave titanota Blue
・パキポディウム レウコキサンツム 恵比寿笑 Pachypodium brevicaule subsp. leucoxanthum
・亀甲竜 Dioscorea elephantipes
・パキポディウム ホロンベンセ Pachypodium horombense
・パキポディウム デンシフローラム Pachypodium densiflorum var. densiflorum
・フォッケア 火星人 Fockea edulis
今回もseedstockさんで10個ずつ購入。
10個ずつと言いつつ若干多めに入れてくれるのが嬉しいです。
種まきの準備
では実際に種まきの準備を進めていきます。
前回に近いやり方ではありますが、少し改良も加えています。
まずは殺菌剤であるベンレートを1000倍希釈、発芽促進剤のメネデールを100倍希釈します。
この溶液に種を半日程度浸すのですが、今回はこの薬剤が必要なのかどうか検証。
種10個のうち半分はこの薬剤の溶液に、残りの半分はただの水道水に浸して比較します。
浸して6時間経過後、実際に種を蒔いていきます。
使用する容器はプレステラ90型。前回使用したマジカルポットも通気性が高くて良いのですが、水換えの際に毎回ポロポロと土がこぼれるのが面倒なので、今回はプレステラを使用します。
そして、通気性の確保と土がこぼれ出るのを防ぐために、今回は鉢底に軽石を敷きます。
ベースの土は前回同様プロトリーフを使います。
表面にはうっすらとバーミキュライトと敷きます。粒が細かいので根が張りやすく、保水性もあるため播種に適しています。
土の準備ができたら熱湯をかけて殺菌します。
時間を置いて土が冷めたら播種の準備完了です。
2度目の種まき
準備ができたので実際に種を蒔いていきます。
今回も種は表面にパラパラっと蒔いて上に土をかぶせたりはしません。
薬剤に漬けたものと単なる水道水に浸したもの、どちらも同じように蒔きます。
薬剤使用の種は腰水も薬剤入りのもの、不使用の方は水道水で腰水してそのままどちらも密閉します。このまま25℃、10000ルクスの環境に置きます。
種まきから2日目
蒔いてから2日間は完全密閉で全く手を加えない状態で放置します。
殺菌剤、メネデールあり
少し発芽し、一部ではカビが発生しています。
パキポディウム ホロンベンセは1つ発芽。カビは今のところみられません。
2日目にして最も発芽していたのは火星人。ですが、カビも一番たくさん出ています。
アガベ チタノタブルーはカビは生えてませんが発芽もなし。アガベは発芽率高いのでおそらくこれは大丈夫でしょう。
亀甲竜も全く動きなし。
というかこれは土の上に蒔くので良いのでしょうか?
殺菌剤、メネデールなし
全体的には若干発芽率が低く、カビも多めな印象。
ホロンベンセは薬剤ありは発芽していましたが、こちらはまだ動きなし。
カビはありません。
火星人は薬剤と同じく半分程度発芽。カビも同程度です。
パキポディウム デンシフローラムは薬剤ありと同じく発芽はありません。
薬剤ありはカビがありませんでしたが、こちらは一つカビが生えました。
アガベ チタノタブルーは同様に動きなし。
亀甲竜は一つカビが生えていました。
2日目の時点では、若干薬剤ありの方が発芽率、カビの生え方ともに良好な結果ですが、わずかな差で誤差の範囲というような気もします。
種まきから3日目
播種から2日後の時点で一度蓋を開けて換水し、その後さらに1日経過した状態です。
殺菌剤、メネデールあり
ホロンベンセは殺菌剤ありの方でもカビが発生しました。
恵比寿笑はカビが広がってしまい、発芽も全くしていません。
火星人は成長スピードが速く、カビが生えても関係なく成長しています。
アガベ チタノタブルーはようやく少し発芽。促進剤ありの方が少し早い感じです。
パキポディウム デンシフローラムは未だ動きなし。
殺菌剤、メネデールなし
亀甲竜はやはり動きなし。もうちょっと経って動きなさそうならこちらは土に埋めることにします。
ホロンベンセは促進剤なしでも発芽しています。むしろこちらの方が多いくらい。
恵比寿笑はどちらもダメです。カビも生えるし発芽もしません。
同じパキポディウムでもここまで差が出るのは種類の違いによる影響なのか、単純に種の鮮度の影響が大きいのかどうなのでしょう。
火星人はどちらも勢いがあります。3日にしてこの成長。
デンシフローラムはまだまだ。アガベなど他の種に比べパキポディウムは発芽率にばらつきがあります。
アガベ チタノタブルーは薬剤ありと同様に少し発芽の兆候が見られ始めた感じです。
種まきから5日目
2日目以降は2日に1回のペースで腰水を交換するだけの管理です。
密閉もせず完全に解放しています。
殺菌剤、メネデールあり
一部の種を除き順調に発芽しています。
火星人はとにかく勢いがあります。カビが生えても関係なく成長しました。
最初のほうにカビが生えたものは取り除いてしまいましたが、そのままにしておけば成長したような気がします。
ホロンベンセはさらに1つカビが生えましたが、基本的に発芽率は高め。
恵比寿笑いは全く反応なし。これはどうやらダメそうです。
もう少し様子見たら片付けてしまおうと思います。
アガベはやはり優秀。100%発芽です。
デンシフローラムもスロースタートですが、徐々に発芽しています。
亀甲竜は全く反応なし。調べたところどうやら嫌光性のようなので、このタイミングで土の中に埋めてしまうことにしました。
殺菌剤、メネデールなし
薬剤なしですが、こちらも問題なく発芽、成長しています。
恵比寿笑いはこちらもダメそうです。
火星人はこちらの方が発芽率高め。
亀甲竜はやはり反応ないので、同様に埋めてしまいます。
ホロンベンセも薬剤なしの方がむしろ発芽しています。
アガベも薬剤なしでも全く問題ありません。
デンシフローラムは薬剤なしの方が発芽率低めですが、正直誤差範囲です。
まとめ
今回の検証は、種まきの前に半日程度水につける工程の際に、殺菌剤や発芽促進剤の使用の有無によって成功率が変わるかどうかを検証しました。
結果は以下の通り。
・アガベ チタノタブルー どちらも100%発芽
・パキポディウム レウコキサンツム どちらも発芽なし
・パキポディウム ホロンベンセ 発芽:薬剤あり8個中5個 薬剤なし8個中6個
・パキポディウム デンシフローラム 発芽:薬剤あり7個中4個 薬剤なし6個中3個
・火星人 発芽:薬剤あり7個中3個 薬剤なし7個中5個
・亀甲竜 発芽なし(※土に埋めてからどちらも同時に発芽)
検証した種の個数が少ないのではっきり結論づけにくいところはありますが、基本的に薬剤の有無で成功率は変わらないというのが今回の結論です。
今回の検証で思ったのは、最初に薬剤に種を浸すよりも、毎日殺菌剤や促進剤入りの水をスプレーしてあげた方が効果が高いのではないかと感じました。
最初に薬剤を浸したところで、特に殺菌効果は知れているのではないかと感じた次第です。
次回は最初に薬剤には浸さず、毎日薬剤をスプレーするかどうかの有無でも比較してみようと思います。
情報が少ない多肉植物の実生について、少しでも参考になる部分があったら嬉しいです。